蘇るあの日の恋心…。時を経て、関係を壊す覚悟は決まってる。今夜、初恋の続きをもう一度。

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蘇るあの日の恋心…。時を経て、関係を壊す覚悟は決まってる。今夜、初恋の続きをもう一度。 (ページ 1)

「カンパーイ!」

『カンパーイ!』

夜景の見えるホテル高層階のバーで、二人は佳子の卒業以来、数年ぶりに再会を果たし、カウンターで肩を並べて合ってグラスを交わした。

「つい昨日まで子供だったお前と、こうしてお酒飲める日が来るなんて、なんか、感慨深い」

『つい昨日って、もう卒業して五年だよ?』

「早いな」

『倫也、結婚は?』

「倫也“先生”だろ」

『過去形じゃん。それより話逸らさないでよ。答えは?結婚したの?してないの?』

「独身」

『うわっ、寂しい』

「うっせ。そういうお前は彼氏くらいできたのかよ」

『いない』

「寂しい奴」

『うるさいなぁ。私は彼氏できないんじゃなくて、作らないの!』

「はいはい」

『今更だけど…ありがとね。倫也が担任じゃなきゃ、私、絶対退学してた』

進路に迷い、何もかもが憂鬱で、不登校気味だった学生時代の佳子の家へ押しかけた倫也は、こう言った。

---難しく考えるな。とりあえず、学校来い。お前を絶対卒業させてやる。それからのことはその後考えろ。どうしても何か理由が欲しいなら、俺に会うために学校に来い---

教師一年目の倫也は生徒と年が近いこともあって男女問わず人気があったが、当時の佳子は教師としてではなく、一人の男として倫也に惹かれ、恋をしていた。

---先生、好きって言ったら、困らせちゃいますか?---

卒業を目前にして、抑えがきかなくなってしまった想いは言葉になって零れたが、倫也からの答えは佳子が期待するものではなかった。

---ごめん、その気持ちには応えられない---

叶わない恋だったけれど、立ち止まって動けなくなってしまった佳子の背中を押したのは、他の誰でもない、倫也だった。

「学校辞めなくてよかっただろ?」

『うん。…ねぇ、一度でも私のこと、女として見たことなかったの?』

お酒の力を借りて、時を経た今だからこそ聞ける。

「女として見てたら、教師失格だろ」

『そんな理屈っぽい答えが聞きたいんじゃない。私は倫也が先生で、倫也が担任で、好きになれて良かったって思ってるよ。今も…』

「俺は…お前の先生でよかったって思ったことなんて一度もない」

『…ぇ…』

「お前が生徒じゃなきゃいいのにって何回も思った」

『…』

「この意味、わかる?」

『わかる…気がする。倫也、私…好きだよ、今でも』

「そんな目で見んなよ。今の俺はお前に手出せるんだから…」

『私はそれでもいいって思ってる』

「…帰るか」

『やだ。帰らない!倫也がいけないんだよ、そんなこと言うから…なかったことになんてしないで…』

「じゃあ今夜、部屋に来る覚悟ある?」

『あるよ。もう私、子供じゃないから』

佳子の揺るがぬ意思を確認した倫也は彼女の両肩に触れ、そっと優しく抱き寄せる。

酔って力の抜けた華奢な身体がふわっと軽やかに胸へと倒れ込み、佳子の甘いコロンの香りが倫也の理性を刺激する。

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